人間堆肥【human compostingの話 】
一昨日、BBCニュースの記事の中に奇妙なタイトルを見つけました。
なかなか衝撃的な『人間堆肥化』という記事。
アメリカのワシントン州では、今月『人間堆肥化』を合法化したそうです。
アメリカでは昔土葬が主流でしたが、火葬の方が多くなりつつあるとか。お墓の土地不足が問題になっているせいもあるかもしれません。
どこの国も同じような問題を抱えているみたいですね。アメリカは国土が広いので、お墓を作ろうと思えば、どこでも作れそうな気がしますけど。
その問題を解決する方法が、人間を土に還し、堆肥にすることらしいです。
ヴィーガニズムを実践している人が聞いたら、卒倒しそうですよね。亡くなった人を堆肥にするのはモラルに反しないような気もしますが。
ヴィーガニズムは、動物の命を奪うことに反対しているわけですから、自然死の場合は大丈夫なのかな?とも思えます。
でも、もしクロイツフェルト・ヤコブ病で亡くなった方が堆肥にされたら、また狂牛病(BSE)のような問題が起きそうです。
土に還す例がその記事中にありました。マッシュルームのスーツを着せて埋葬するのだそうです。
はじめに "mushroom suit " と読んだ時は、「きのこスーツ」って何や?と思いました。
記事の中では、今年3月に亡くなったルーク・ペリーが「きのこスーツで埋葬された」とあります。
ルーク・ペリーを知らない方も多いと思いますが、かなり前に『ビバリーヒルズ高校白書』というアメリカのドラマがありました。
ビバリーヒルズと銘打っているだけあって、医者の娘などのセレブな高校生たちの青春ドラマです。
その中で一匹狼っぽいディランという名前のハンサムな青年を演じたのがルーク・ペリーでした。
『ビバリーヒルズ〜』のドラマのリブート版が放送されることが正式発表された直後、ルーク・ペリーが脳卒中で亡くなりました。
彼は環境問題に関心が深かったらしく、娘さんに「マッシュルーム・スーツ」での埋葬を希望することを伝えていたそうです。
ルーク・ペリー氏の話で長くなってしまいましたが、「マッシュルーム・スーツ」はきのこの株が植え付けてあり、遺体が土に還るのを促進させるようです。菌類の土壌浄化作用が環境にも良いということでしょう。
伝染性の病原菌を持っていない遺体であるなら、良い方法かもしれません。
実際に堆肥にする場合のテストは、昨年ワシントン州立大学で7体の献体を使って行われたそうです。
具体的には、遺体を大きな円筒形の容器に入れ、木のチップや牧草や藁のような有機物で覆い、酸素供給量を制御し分解を加速させると数週間で堆肥になるということです。
生ゴミを堆肥にする過程と変わらないような。
また、スウェーデンでは、もうすでに人間の堆肥化が合法だそうです。スウェーデンでは、遺体を火葬なしで粉にする「プロメッション」という方法が採られています。
それは、遺体を液体窒素に浸して凍結し、フリーズドライにして粉末にするという方法です。
人間をフリーズドライにするとは、すごい発想ですよね。
アメリカでは環境に優しい「グリーン埋葬」に関心が高まっているようです。
アメリカの葬儀社の試算では、火葬1回につき、二酸化炭素の排出量は110-200kgだそうです。また、火葬にはガスや電力などの燃料が多量に消費されます。そのために費用も高額になります。
「プロメッション」では場所も取らず、たくさんの燃料も必要とせず、二酸化炭素も排出しないので、環境のことを考慮すると、これからの埋葬の主流になるのかもしれません。
心情的に堆肥として使ってほしくはないですけどね。