gonsampoのブログ

健康のために、いろいろ考え試す日々のブログです

輸入感染症

国立感染症研究所は例年輸入の割合が高いものとして下記の15疾患をあげています。

アメーバ赤痢 Amebiasis 

E型肝炎 Hepatitis E  

A型肝炎 Hepatitis A    

クリプトスポリジウム症 Cryptosporidiosis 

細菌性赤痢 Shigellosis     

ジアルジア症 Giardiasis 

ジカウイルス感染症 Zika virus infection  

チクングニア熱 Chikungunya fever

チフス Typhoid fever

デング熱 Dengue fever

パラチフス Paratyphoid fever

風疹 Rubella 

麻疹 Measles  

マラリア Malaria 

レプトスピラ症 Leptospirosis 

知らないだけで、結構国外から感染症が入ってきているようです。海外に行く際には気をつけないといけません。感染すると自分の健康を害するだけではなく、感染した状態で帰国した場合は人に迷惑をかけることになるかもしれません。なので、渡航する人が感染経路や病気について知っておくことは大切です。

アメリカ疾病管理予防センター(CDC)や厚生労働省が詳しい情報を出してくれています。

アメーバ赤痢 ーー 世界中で見られます。

感染した人の便中の赤痢アメ-バに汚染された水や氷、野菜や果物、肉類を生で食べることによって感染します。ビン入りミネラルウォーターや、一度沸騰させた水を飲みましょう。また、カットフルーツなども洗った水が汚染され、感染することがあります。先進国では性行為による感染が多いそうです。

症状は感染後2〜4週間で下痢や粘血便(イチゴゼリー状)が見られます。

ワクチンはありません。

E型肝炎 ーー E型肝炎ウイルスによる一過性の急性肝炎です。

インド、ネパール、パキスタンなど南アジア、ミャンマーなど東南アジア、キルギスなど中央アジアアルジェリア、エジプトなど北アフリカ、メキシコ、中国新疆ウイグル地区などでの報告例が多いようです。

糞便に汚染された飲食品からの経口感染・水系感染が主です。日本でも、年間数十例の発生があります。ブタやシカ、イノシシなどの動物はE型肝炎ウイルスを保有しており、これら動物の生刺しやレバ刺しなどの喫食による感染経路が最近になり指摘されています。

潜伏期間は2週から9週間(平均6週間)です。

急性肝炎になった場合、A型肝炎とよく似た症状で、黄疸(皮膚や目が黄色くなる)、発熱、食欲低下、腹痛がみられます。

ワクチンはありません。

A型肝炎 ーー A型肝炎ウイルスによる一過性の感染症です。

世界中でみられますが、衛生状態が悪く飲用水の管理が悪い地域でのリスクが高くなります。糞便からのウイルスが人の手を介して、水や氷、野菜や果物、魚介類を経て口に入ることで感染します。過去には、貝類による集団感染もありました。性交渉時に感染することもあります。

ウイルスに感染し、2~7週間の潜伏期間の後に、急な発熱、全身のだるさ、食欲不振、吐き気や嘔吐が見られ、数日後には黄疸(皮膚や目の白い部分が黄色くなること)が現れます。潜伏期間が長いので、感染機会は前回の旅行時であったということもあります。

日本では、ワクチンは2~4週間の間隔で2回接種します。約半年後に3回目の接種をすると免疫が強化され、5年間は有効といわれています。国と製剤によって接種方法が異なるため、海外では医師の指示に従ってください。

クリプトスポリジウム症 ーー クリプトスポリジウム原虫という寄生虫に寄生されることによってかかる病気で、ヒトからヒトへうつることがあります。

世界中でみられます。

糞便で汚染された食品や飲料を摂取することによりうつります。

感染して3日から14日間の症状のない期間があった後に水様の下痢、腹痛、嘔吐、脱水、発熱がおこります。まったく症状のない人もいます。

通常は治療をしなくても自然になおります。駆虫薬もあります。

細菌性赤痢 ーー 世界中でみられる感染症ですが、衛生環境の悪い地域に多く、とくにインド、インドネシア、タイなどアジア地域からの輸入症例が多くみられます。

保菌者の糞便および汚染された手指、食品、器物、水、ハエが主な感染源となります。サルも細菌性赤痢に感染するため、輸入ザルが感染源となった事例もありました。

潜伏期間は多くは1~5日ですが、なかには12時間で発症することもあります。

発熱、腹痛、下痢、ときにおう吐などを伴って急激に発症、重症例ではテネスムス(しぶり腹)という症状を呈し、頻回の便意をともなう膿粘血便を排泄する典型的赤痢症状を示します。

健康な方では無治療でも4~7日で改善します。発症初期に抗生剤治療を行うと、症状の持続期間や保菌している期間が短くなることがあります。

予防ワクチンはありません。

ジアルジア症 ーー ランブル鞭毛虫による感染症で、世界的に発生がみられ、感染者数は数億人に達するといわれています。特に熱帯や亜熱帯地域で上水道など衛生環境が粗悪な地域に多発しています。

汚染された食品や食器をはじめ汚染飲料水からも感染します。寄生虫形態のひとつ嚢子は塩素消毒でも死滅されません。

潜伏期間は1~3週間です。

症状は主に下痢や腹痛、悪心、衰弱感、体重減少などがあげられます。

抗トリコモナス薬の投与による治療が必要ですが、本症に対しては健康保険の適用外です。

ジカウイルス感染症 ーー ヤブカ(Aedes)属の蚊によって媒介されるジカウイルスによる感染症です。性行為での感染例もみられます。

中央および南アメリカ大陸カリブ海地域で症例が報告されています。

潜伏期間は3~12日です。不顕性感染率は約80%とされています。

発熱、発疹、関節痛・関節炎、結膜充血が半数以上の症例に認められ、その他に筋肉痛・頭痛、めまい、下痢、腹痛、嘔吐、便秘、食欲不振などをきたす場合もあります。ブラジルでは妊婦がジカウイルスに感染することで胎児が感染し、小頭症児が多発しています。

痛みや発熱に対して解熱鎮痛剤を投与するだけです。

チクングニア熱 ーー 蚊に刺されることで広がるウイルス性疾患です。ヒトからヒトには感染しません。

アジア、アフリカの熱帯・亜熱帯が流行地域でしたが、最近は中南米の各地に流行地が広がり、今も拡大を続けています。

潜伏期間は2~12日(通常2~4日)です。

発熱、関節炎、発疹がみられます。関節の痛みは、手首、足首、指、膝、肘、肩などに現れます。結膜炎や神経系の症状もみられます。出血しやすくなることもあります。

ワクチンや予防薬はありません。

チフス ーー サルモネラ属のチフス菌による感染症です。感染した人の糞尿で汚染された飲食物をとることでうつります。

世界中でみられる感染症ですが、南アジア、東南アジア、アフリカ、カリブ海、中央および南アメリカが危険のある地域です

潜伏期間は1~3週間。

高熱、頭痛、全身のだるさ、高熱時に数時間現れる胸や背中、腹の淡いピンク色の発疹、便秘などの症状が現れます。熱が高い割に脈が遅いのが特徴です。重大な症状として、腸から出血したり、腸に穴が開いたりすることがあります。

チフスには有効なワクチンがありますが、日本では承認されていません。一部の医療機関 で、外国から輸入したワクチンを接種しています。

デング熱 ーー デングウイルスによる感染症ネッタイシマカヒトスジシマカ(ヤブ蚊)によって感染します。ヒトからヒトへ直接感染することはありません。

アフリカ地域、アメリカ地域、東地中海地域、東南アジア地域、西太平洋地域の熱帯・亜熱帯地域でみられます。

潜伏期間は2~14日(通常3~7日)です。

38~40℃の発熱、激しい頭痛、関節痛、筋肉痛、発疹が現れます。通常、3~5日で解熱し、解熱とともに発疹が現れます。発疹は治りかけたときに出現します。

ワクチンやウイルスを標的とした治療法はありません。

パラチフス ーー サルモネラ属のパラチフス菌による感染症です。腸チフスと同じ感染経路です。

感染する危険地域も腸チフスと同じです。

症状も腸チフスとほぼ同じですが、腸チフスより軽いようです。

ワクチンはありません。

風疹 ーー 風しんウイルスによって引き起こされる急性の発疹性感染症です。感染経路は、飛沫感染で、ヒトからヒトへ感染が伝播します。インフルエンザウイルスより小さく、手洗い・うがい・マスクの着用では、感染防止が出来ません。

多数の患者の報告があるのは、主にアジア及びアフリカ諸国です。

潜伏期間は2〜3週間。

発疹の出る前後約1週間はヒトに感染させる可能性があります。

症状は不顕性感染(感染症状を示さない)から、重篤な合併症併発まで幅広く、特に成人で発症した場合、高熱や発疹が長く続いたり、関節痛など、小児より重症化することがあります。また、脳炎や血小板減少性紫斑病を合併するなど、入院加療を要することもあるため、決して軽視はできない疾患です。

また、風しんに対する免疫が不十分な妊娠20週頃までの妊婦が風しんウイルスに感染すると、先天性風しん症候群の子どもが生まれてくる可能性が高くなります。

風しんの予防のためには、ワクチンの接種が最も有効な予防方法といえます。

麻疹(はしか) ーー 麻しんウイルスによって引き起こされる急性の全身感染症です。

感染経路は、空気感染、飛沫感染接触感染で、ヒトからヒトへ感染します。感染力が強く、手洗い、マスクのみで予防はできません。

多数の患者の報告があるのは、主にアジア及びアフリカ諸国です。ウクライナ、インド、ブラジル、フィリピン、マダガスカルなどからの報告数が特に多いです。

感染すると約10日後に発熱や咳、鼻水といった風邪のような症状が現れます。2~3日熱が続いた後、39℃以上の高熱と発疹が出現します。肺炎、中耳炎を合併しやすく、患者1,000人に1人の割合で脳炎が発症すると言われています。

麻しんの予防接種が最も有効な予防法といえます。また、麻しんの患者に接触した場合、72時間以内に麻しんワクチンの接種をすることで、麻しんの発症を予防できる可能性があります。

マラリア ーー マラリア原虫をもった蚊(ハマダラカ属)に刺されることで感染する病気です。

アジア、オセアニア、アフリカおよび中南米の熱帯・亜熱帯地域で流行しています。

潜伏期間は1週間から4週間ほどです。

発熱、寒気、頭痛、嘔吐、関節 痛、筋肉痛などの症状が出ます。熱帯熱マラリアは発症から24時間以内に治療しないと重症化し、しばしば死に至ります。脳症、腎症、肺水腫、出血傾向、重症貧血など、さまざまな合併症がみられます。

マラリアには予防薬があります。マラリア流行地へ渡航する際は、抗マラリア薬の予防内服 を行うことが望ましいとされています。

レプトスピラ症 ーー レプトスピラ菌によって引き起こされる感染症です。

病原性レプトスピラ保有しているネズミ、イヌ、ウシ、ウマ、ブタなどの尿で汚染された下水や河川、泥などにより経皮的に、時には汚染された飲食物の摂取により経口的にヒトに感染します。海外ではトライアスロンなどのウォータースポーツによる集団発生も報告されています。ヒトからヒトへの感染は起こりません。

ブラジル、ニカラグアなどの中南米、フィリピン、タイなどの東南アジアなど、熱帯、亜熱帯の国々で流行しています。特にタイなどでは毎年数千人規模の大流行が続いており、早急な対策が求められています。
また、海外からの家畜、ペットなどの動物の輸入を介してレプトスピラが持ち込まれることも予想されます。

潜伏期間は3~14日です。

突然の悪寒、戦慄、高熱、筋肉痛、眼球結膜の充血が生じ、4~5日後、黄疸や出血傾向が増強する場合もあります。ワイル病の別名でも呼ばれる重症型では、5〜8日後から黄疸、出血、肝臓・腎臓障害などの症状が見られ、エボラ出血熱と同レベルの全身出血を伴ったり、播種性血管内凝固症候群を引き起こす場合もあります。

人と犬に対しては、予防注射があります。しかし、血清型によりワクチンがないものもあり、完全ではありません。

 

ワクチンなどで予防できないものは、蚊などを媒介するものは防虫スプレーを使うこと、衛生状態が悪そうな地域では飲食物に注意することが重要です。

不幸にも感染した場合は、対症療法と自然治癒力で頑張りましょう。