gonsampoのブログ

健康のために、いろいろ考え試す日々のブログです

輸入感染症

国立感染症研究所は例年輸入の割合が高いものとして下記の15疾患をあげています。

アメーバ赤痢 Amebiasis 

E型肝炎 Hepatitis E  

A型肝炎 Hepatitis A    

クリプトスポリジウム症 Cryptosporidiosis 

細菌性赤痢 Shigellosis     

ジアルジア症 Giardiasis 

ジカウイルス感染症 Zika virus infection  

チクングニア熱 Chikungunya fever

チフス Typhoid fever

デング熱 Dengue fever

パラチフス Paratyphoid fever

風疹 Rubella 

麻疹 Measles  

マラリア Malaria 

レプトスピラ症 Leptospirosis 

知らないだけで、結構国外から感染症が入ってきているようです。海外に行く際には気をつけないといけません。感染すると自分の健康を害するだけではなく、感染した状態で帰国した場合は人に迷惑をかけることになるかもしれません。なので、渡航する人が感染経路や病気について知っておくことは大切です。

アメリカ疾病管理予防センター(CDC)や厚生労働省が詳しい情報を出してくれています。

アメーバ赤痢 ーー 世界中で見られます。

感染した人の便中の赤痢アメ-バに汚染された水や氷、野菜や果物、肉類を生で食べることによって感染します。ビン入りミネラルウォーターや、一度沸騰させた水を飲みましょう。また、カットフルーツなども洗った水が汚染され、感染することがあります。先進国では性行為による感染が多いそうです。

症状は感染後2〜4週間で下痢や粘血便(イチゴゼリー状)が見られます。

ワクチンはありません。

E型肝炎 ーー E型肝炎ウイルスによる一過性の急性肝炎です。

インド、ネパール、パキスタンなど南アジア、ミャンマーなど東南アジア、キルギスなど中央アジアアルジェリア、エジプトなど北アフリカ、メキシコ、中国新疆ウイグル地区などでの報告例が多いようです。

糞便に汚染された飲食品からの経口感染・水系感染が主です。日本でも、年間数十例の発生があります。ブタやシカ、イノシシなどの動物はE型肝炎ウイルスを保有しており、これら動物の生刺しやレバ刺しなどの喫食による感染経路が最近になり指摘されています。

潜伏期間は2週から9週間(平均6週間)です。

急性肝炎になった場合、A型肝炎とよく似た症状で、黄疸(皮膚や目が黄色くなる)、発熱、食欲低下、腹痛がみられます。

ワクチンはありません。

A型肝炎 ーー A型肝炎ウイルスによる一過性の感染症です。

世界中でみられますが、衛生状態が悪く飲用水の管理が悪い地域でのリスクが高くなります。糞便からのウイルスが人の手を介して、水や氷、野菜や果物、魚介類を経て口に入ることで感染します。過去には、貝類による集団感染もありました。性交渉時に感染することもあります。

ウイルスに感染し、2~7週間の潜伏期間の後に、急な発熱、全身のだるさ、食欲不振、吐き気や嘔吐が見られ、数日後には黄疸(皮膚や目の白い部分が黄色くなること)が現れます。潜伏期間が長いので、感染機会は前回の旅行時であったということもあります。

日本では、ワクチンは2~4週間の間隔で2回接種します。約半年後に3回目の接種をすると免疫が強化され、5年間は有効といわれています。国と製剤によって接種方法が異なるため、海外では医師の指示に従ってください。

クリプトスポリジウム症 ーー クリプトスポリジウム原虫という寄生虫に寄生されることによってかかる病気で、ヒトからヒトへうつることがあります。

世界中でみられます。

糞便で汚染された食品や飲料を摂取することによりうつります。

感染して3日から14日間の症状のない期間があった後に水様の下痢、腹痛、嘔吐、脱水、発熱がおこります。まったく症状のない人もいます。

通常は治療をしなくても自然になおります。駆虫薬もあります。

細菌性赤痢 ーー 世界中でみられる感染症ですが、衛生環境の悪い地域に多く、とくにインド、インドネシア、タイなどアジア地域からの輸入症例が多くみられます。

保菌者の糞便および汚染された手指、食品、器物、水、ハエが主な感染源となります。サルも細菌性赤痢に感染するため、輸入ザルが感染源となった事例もありました。

潜伏期間は多くは1~5日ですが、なかには12時間で発症することもあります。

発熱、腹痛、下痢、ときにおう吐などを伴って急激に発症、重症例ではテネスムス(しぶり腹)という症状を呈し、頻回の便意をともなう膿粘血便を排泄する典型的赤痢症状を示します。

健康な方では無治療でも4~7日で改善します。発症初期に抗生剤治療を行うと、症状の持続期間や保菌している期間が短くなることがあります。

予防ワクチンはありません。

ジアルジア症 ーー ランブル鞭毛虫による感染症で、世界的に発生がみられ、感染者数は数億人に達するといわれています。特に熱帯や亜熱帯地域で上水道など衛生環境が粗悪な地域に多発しています。

汚染された食品や食器をはじめ汚染飲料水からも感染します。寄生虫形態のひとつ嚢子は塩素消毒でも死滅されません。

潜伏期間は1~3週間です。

症状は主に下痢や腹痛、悪心、衰弱感、体重減少などがあげられます。

抗トリコモナス薬の投与による治療が必要ですが、本症に対しては健康保険の適用外です。

ジカウイルス感染症 ーー ヤブカ(Aedes)属の蚊によって媒介されるジカウイルスによる感染症です。性行為での感染例もみられます。

中央および南アメリカ大陸カリブ海地域で症例が報告されています。

潜伏期間は3~12日です。不顕性感染率は約80%とされています。

発熱、発疹、関節痛・関節炎、結膜充血が半数以上の症例に認められ、その他に筋肉痛・頭痛、めまい、下痢、腹痛、嘔吐、便秘、食欲不振などをきたす場合もあります。ブラジルでは妊婦がジカウイルスに感染することで胎児が感染し、小頭症児が多発しています。

痛みや発熱に対して解熱鎮痛剤を投与するだけです。

チクングニア熱 ーー 蚊に刺されることで広がるウイルス性疾患です。ヒトからヒトには感染しません。

アジア、アフリカの熱帯・亜熱帯が流行地域でしたが、最近は中南米の各地に流行地が広がり、今も拡大を続けています。

潜伏期間は2~12日(通常2~4日)です。

発熱、関節炎、発疹がみられます。関節の痛みは、手首、足首、指、膝、肘、肩などに現れます。結膜炎や神経系の症状もみられます。出血しやすくなることもあります。

ワクチンや予防薬はありません。

チフス ーー サルモネラ属のチフス菌による感染症です。感染した人の糞尿で汚染された飲食物をとることでうつります。

世界中でみられる感染症ですが、南アジア、東南アジア、アフリカ、カリブ海、中央および南アメリカが危険のある地域です

潜伏期間は1~3週間。

高熱、頭痛、全身のだるさ、高熱時に数時間現れる胸や背中、腹の淡いピンク色の発疹、便秘などの症状が現れます。熱が高い割に脈が遅いのが特徴です。重大な症状として、腸から出血したり、腸に穴が開いたりすることがあります。

チフスには有効なワクチンがありますが、日本では承認されていません。一部の医療機関 で、外国から輸入したワクチンを接種しています。

デング熱 ーー デングウイルスによる感染症ネッタイシマカヒトスジシマカ(ヤブ蚊)によって感染します。ヒトからヒトへ直接感染することはありません。

アフリカ地域、アメリカ地域、東地中海地域、東南アジア地域、西太平洋地域の熱帯・亜熱帯地域でみられます。

潜伏期間は2~14日(通常3~7日)です。

38~40℃の発熱、激しい頭痛、関節痛、筋肉痛、発疹が現れます。通常、3~5日で解熱し、解熱とともに発疹が現れます。発疹は治りかけたときに出現します。

ワクチンやウイルスを標的とした治療法はありません。

パラチフス ーー サルモネラ属のパラチフス菌による感染症です。腸チフスと同じ感染経路です。

感染する危険地域も腸チフスと同じです。

症状も腸チフスとほぼ同じですが、腸チフスより軽いようです。

ワクチンはありません。

風疹 ーー 風しんウイルスによって引き起こされる急性の発疹性感染症です。感染経路は、飛沫感染で、ヒトからヒトへ感染が伝播します。インフルエンザウイルスより小さく、手洗い・うがい・マスクの着用では、感染防止が出来ません。

多数の患者の報告があるのは、主にアジア及びアフリカ諸国です。

潜伏期間は2〜3週間。

発疹の出る前後約1週間はヒトに感染させる可能性があります。

症状は不顕性感染(感染症状を示さない)から、重篤な合併症併発まで幅広く、特に成人で発症した場合、高熱や発疹が長く続いたり、関節痛など、小児より重症化することがあります。また、脳炎や血小板減少性紫斑病を合併するなど、入院加療を要することもあるため、決して軽視はできない疾患です。

また、風しんに対する免疫が不十分な妊娠20週頃までの妊婦が風しんウイルスに感染すると、先天性風しん症候群の子どもが生まれてくる可能性が高くなります。

風しんの予防のためには、ワクチンの接種が最も有効な予防方法といえます。

麻疹(はしか) ーー 麻しんウイルスによって引き起こされる急性の全身感染症です。

感染経路は、空気感染、飛沫感染接触感染で、ヒトからヒトへ感染します。感染力が強く、手洗い、マスクのみで予防はできません。

多数の患者の報告があるのは、主にアジア及びアフリカ諸国です。ウクライナ、インド、ブラジル、フィリピン、マダガスカルなどからの報告数が特に多いです。

感染すると約10日後に発熱や咳、鼻水といった風邪のような症状が現れます。2~3日熱が続いた後、39℃以上の高熱と発疹が出現します。肺炎、中耳炎を合併しやすく、患者1,000人に1人の割合で脳炎が発症すると言われています。

麻しんの予防接種が最も有効な予防法といえます。また、麻しんの患者に接触した場合、72時間以内に麻しんワクチンの接種をすることで、麻しんの発症を予防できる可能性があります。

マラリア ーー マラリア原虫をもった蚊(ハマダラカ属)に刺されることで感染する病気です。

アジア、オセアニア、アフリカおよび中南米の熱帯・亜熱帯地域で流行しています。

潜伏期間は1週間から4週間ほどです。

発熱、寒気、頭痛、嘔吐、関節 痛、筋肉痛などの症状が出ます。熱帯熱マラリアは発症から24時間以内に治療しないと重症化し、しばしば死に至ります。脳症、腎症、肺水腫、出血傾向、重症貧血など、さまざまな合併症がみられます。

マラリアには予防薬があります。マラリア流行地へ渡航する際は、抗マラリア薬の予防内服 を行うことが望ましいとされています。

レプトスピラ症 ーー レプトスピラ菌によって引き起こされる感染症です。

病原性レプトスピラ保有しているネズミ、イヌ、ウシ、ウマ、ブタなどの尿で汚染された下水や河川、泥などにより経皮的に、時には汚染された飲食物の摂取により経口的にヒトに感染します。海外ではトライアスロンなどのウォータースポーツによる集団発生も報告されています。ヒトからヒトへの感染は起こりません。

ブラジル、ニカラグアなどの中南米、フィリピン、タイなどの東南アジアなど、熱帯、亜熱帯の国々で流行しています。特にタイなどでは毎年数千人規模の大流行が続いており、早急な対策が求められています。
また、海外からの家畜、ペットなどの動物の輸入を介してレプトスピラが持ち込まれることも予想されます。

潜伏期間は3~14日です。

突然の悪寒、戦慄、高熱、筋肉痛、眼球結膜の充血が生じ、4~5日後、黄疸や出血傾向が増強する場合もあります。ワイル病の別名でも呼ばれる重症型では、5〜8日後から黄疸、出血、肝臓・腎臓障害などの症状が見られ、エボラ出血熱と同レベルの全身出血を伴ったり、播種性血管内凝固症候群を引き起こす場合もあります。

人と犬に対しては、予防注射があります。しかし、血清型によりワクチンがないものもあり、完全ではありません。

 

ワクチンなどで予防できないものは、蚊などを媒介するものは防虫スプレーを使うこと、衛生状態が悪そうな地域では飲食物に注意することが重要です。

不幸にも感染した場合は、対症療法と自然治癒力で頑張りましょう。

 

 

 

 

 

エボラ出血熱

日本では、エボラ出血熱というと危険度マックス、感染すると即死亡のように思われている感じがします。ドラマの影響もあるかもしれませんが。

実際のところ、エボラ出血熱の致死率は平均して50%前後です。(狂犬病を発症すると致死率ほぼ100%です。感染している動物に咬まれでもしない限り問題ありませんが。)だから大丈夫であるとか言うつもりは全くありません。

ウイルスは数種類ありますし、ほかのウイルスと同じように変異するのではないかと思います。

エボラウイルスが属するフィロウイルス科は、クウェバウイルス(Cuevavirus)属、マールブルグウイルス属(Marburgvirus)、エボラウイルス(Ebolavirus)属の3種の属から成ります。また、エボラウイルス属は、ザイール、ブンディブギョ、スーダン、レストン、タイフォレストの異なる5型が同定されています。ブンディブギョ、ザイール、スーダンの3種は、アフリカでの大流行を起こしてきました。2014から2016年に発生し、西アフリカでの流行を起こしたウイルスはザイール型に属しています。(厚生労働省検疫所)

ただ、以前はエボラ出血熱を発症すると点滴やビタミン剤の投与など患者の免疫力頼みの対症療法が中心でしたが、現在は有効と思えるワクチンもあります。

昨年は、エボラウイルスに感染したかどうかが発症の4日前には判別できる可能性が出てきたという記事がありました。

現在の診断方法を載せておきます。

マラリア、腸チフス髄膜炎などの感染症エボラ出血熱との鑑別は困難です。

現在、WHOが推奨している検査法は、次のとおりです。

定期検査での診断を管理するための自動または半自動核酸検査(NAT)。
NATを簡単に使えない僻地の環境では、迅速な抗原検出法検査。これらの検査は、調査活動の一部としてのスクリーニング検査を目的とすることにも推奨されますが、(感染)再燃の検査はNATで確認する必要があります。
診断のために求められる検体の採取法は、次のとおりです。症状を有する患者からは、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)管に全血を採取します。
死亡した個体または採血ができないときには、感染を防止できる搬送媒体に口腔内液検体を採取して保管します。
 患者から採取された検体は、病原体に対する高いリスクがあります。不活化されていない検体を扱う施設での検査は、最大級の生物学的な封じ込めの条件下で実施されなければなりません。すべての生体からの検体は、国内および国際的に輸送される場合に、3重包装の方法で梱包する必要があります。(厚生労働省検疫所)

特定が早くなると早期治療が期待できそうです。感染の拡大を阻止できるかもしれません。

現在は他国で起きていることで、関係ないように思えるエボラ出血熱ですが、日本で集団感染が起こる可能性を考えてみました。

  • アフリカ地域での滞在で感染 ーー 商用や旅行で滞在される人もいると思います。コンゴなどでの滞在時には、人との接触はさけるほうがいいでしょう。数日前にはウガンダの少年がエボラ出血熱で死亡しています。コンゴにいる祖父の看病に母親たちと行っていたそうです。祖父のエボラウイルスが感染したようです。
  • ブッシュミートを食べて感染 ーー ブッシュミートは野生動物の肉のことです。日本でもジビエなど聞かれますが、同じです。ブッシュミートは英語で、ジビエはフランス語。エボラウイルスはコウモリを宿主にしていたとか。EU諸国にも輸出されている場合もあり、2010年の推計でフランスのシャルル・ドゴール空港経由で年間約270トンの違法なブッシュミートが持ち込まれていたそうです。
  • 性行為感染 ーー 性行為感染のリスク、特に、時間の経過とともに精液中で活性があるため、感染力を有するウイルスの存在率について、さらに多くの調査データと研究(成果)が必要とされています。全てのエボラ出血熱からの回復者および性的パートナーは、安全な性行為を確実に行えるように講習を受けることが必要です。エボラ治療病棟から退院したとき、また、国による精液と体液の検査プログラムに登録されたときには、コンドームが支給されることが必要です。男性のエボラ回復者は、エボラ治療病棟から退院した時点で精液検査を受けることが必要であり、その後、検査結果が陽性であった者は、最小2週間の間隔を置いて、RT-PCR法検査による2度の精液検査が陰性になるまで、毎月、精液の検査が行われるべきです。エボラ出血熱からの回復者および性的パートナーは、以下の何れか(の対策)を行う必要があります。性行為の一切を控えること。回復者の精液が2度の検査で陰性となるまでは、一貫して確実にコンドームを使用して安全な性生活を送ること。

    回復者は、上記のように2度の陰性結果が得られれば、性行為感染のリスクが低下した者として、通常の性生活を再開しても安全です。
    男性生存者が精液検査を利用できない例外的な状況では、症状の発症から少なくとも12か月間は安全性の高い性生活を続けなければなりません。この間隔は、追加情報が、生存者の精液におけるエボラウイルスの有病率および感染力に関して、時間の経過とともに利用可能になるにつれて調整され得る。
    回復者の精液が2度のエボラウイルスに対する検査で陰性の結果が得られるまでは、回復者はマスタベ-ションの後を含め、精液と直接に接触した後には、石鹸と水で直ぐに徹底的に洗浄することによって、適切に手と身体の清潔を保つことを実践する必要があります。この間、使用されたコンドームは、中の精液との接触を防ぐために、安全に取り扱い、安全に破棄される必要があります。
    全てのエボラ出血熱からの回復者およびそのパートナーや家族には、敬意と尊厳そして思いやりをもって接せられるべきです。( WHO 推奨)

  •  エボラ出血熱からの回復者に潜伏するウイルスによる感染 ーー エボラウイルスは、エボラ出血熱からの回復した一部の人の免疫特異部位で存続することが知られています。これらの部位には、睾丸、眼の内部、および中枢神経系などがあります。妊娠中に感染した女性では、胎盤、羊水、胎児でウイルスが存続します。授乳中に感染した女性では、ウイルスは母乳中に存続している可能性があります。

     ウイルスの存続についての研究では、病気からの回復者の何人かの体液では、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法検査において、エボラウイルスが9か月以上にわたって陽性であったことが示されています。

     稀ですが、病気からの回復者の何人かで、特定の部位でウイルスが増殖したために生じた再燃性の症候性疾患が、報告されています。この現象が起こる理由は、まだ完全には解明されていません。(厚生労働省

 

検疫がしっかりされていれば防げそうな感じもしますが、ウイルスのキャリアなど入国審査で見分けられるはずがないですよね。かと言って、入国する人間全員の血液検査をするのは不可能ですし。

日本で感染者が報告された時には、人との身体的接触はなるべく避けて、外出時には物に触れるのも注意しないといけなくなりそうです。

ワクチンと治療薬の進歩を期待するほかないですね。

病気の名前

インドで流行っている病気について、日本では少しだけニュースになりましたが、他国のことなので、それほど詳しくは報道されませんでした。

そのニュースを見たと言われるかたもいらっしゃると思いますが、ライチを食べて多数の子供たちが亡くなっているそうです。原因は脳炎とも言われているようですが、子供たちの栄養状態も悪かったそうで、はっきりとは特定されていません。症状は頭痛と嘔吐、意識障害、心臓と腎臓に炎症をおこします。

ライチにはヒポグリシンという毒素があり、グルコースの合成を阻害するらしく、発症した子供たちは低血糖になっていたそうです。日本人は栄養状態が悪くないので、空腹時に大量に食べない限り、あまり心配はいらないかもしれません。

インドで起こっている病気について書きましたが、そのことがテーマではありません。その病気の心配をしているわけでもありません。ライチ食べないし。

今日のBBCのそのニュースを読んでいて、ギクッとしたので、病気のネーミングについて考えてみました。

BBCの記事の中に、「インドでは2005年まで脳炎で多数の死者を出したのは、蚊を媒介とする日本脳炎(Japanese encephalitis)が原因だった。」と書かれているのです。

ご存知のかたもいらっしゃると思いますが、日本脳炎は日本発祥の病気ではありません。
日本脳炎は東南アジアで多発しているウイルスの疾患で、多くは豚がウイルスを持ち(犬、 馬も持ちます)、それをコガタアカイエカという蚊が媒介してヒトに移す病気です。日本脳炎という名前は、日本に多い脳炎ではなく、1935年に日本でウイルスが初めて患者から見つかったことに由来しています。

誰が命名したのか不明ですが、和名の日本脳炎でも、英語のJapanese encephalitisでも、日本由来の病気みたいに見えてしまいます。日本の風土病が世界に広がったみたいな。それが再三ニュース記事で出されるのは、嫌な感じがします。

赤痢菌みたいにできなかったのだろうか?と思ってしまいます。赤痢菌は、1898年に志賀潔によって発見され、その名にちなんでShigellaという属名が名付けられました。これは、病原細菌の学名に日本人研究者の名前が付いている唯一の例だそうです。これなら、妙な誤解をされることもなさそうに思います。

でも、日本脳炎のように名前で迷惑するのは日本だけではありません。例えば、スペイン風邪

スペインかぜ(英: 1918 flu pandemic, Spanish Flu)は、1918年から19年にかけ全世界的に流行した、インフルエンザのパンデミック。CDCによるインフルエンザ・パンデミック重度指数 (PSI) においては最上位のカテゴリー5に分類される。感染者5億人、死者5,000万~1億人と、爆発的に流行した。米国発であるにも関わらずスペインかぜと呼ぶのは、情報がスペイン発であったためである。当時は第一次世界大戦中で、世界で情報が検閲されていた中でスペインは中立国であり、大戦とは無関係だった。一説によると、この大流行により多くの死者が出たため、第一次世界大戦終結が早まったといわれている。(Wikipedia

普通、スペイン風邪と聞けば、スペインで流行り出して、世界に広がったのかと考えてしまうと思います。

本当に地域の名前が当てはまっているのは、香港かぜ。香港での発生の最初の記録は1968年7月13日で、翌年にかけて少なくとも50万人が亡くなったそうです。また、アメリカでも500万人の罹患者が出て、約33000人が亡くなっています。今年も猛威を奮っていましたよね。私が罹患したのはA香港型だったようですし。旦那さんしか病院で診断を受けていませんが。

今後、病原菌やウイルスを発見した時には、病気のネーミングにも気を配ってほしいです。

 

 

衣類のにおい

以前は洗った後の衣類のにおいに悩まされていたのですが、ここ数ヶ月漂白剤のおかげで不快な思いをしなくてすんでいます。

不快な臭いの原因はモラクセラ菌なのだそうです。

ラクセラ・オスロエンシスは洗濯物の部屋干しの際に発生する悪臭の原因菌です。この菌は、増殖する際に雑巾のような悪臭を発生する4-メチル-3-ヘキセン酸という物質を作る。( Wikipedia

この臭いを何とかしようと、まず柔軟剤をたくさんの種類使いました。臭いを良い香りでごまかそうとしましたが、無理でした。その後、乾いた衣類に使う除菌消臭スプレーを使いました。その時だけで、あまり効果はなかったように思います。

やはり、元から断たないとダメだと思って、洗濯槽を洗浄する洗剤を試しました。洗濯機から清潔にしないと、汚れているものの中で洗っても、きれいになるはずないですものね。

重曹、酸素系クリーナー、塩素系クリーナーなど色々使いました。でも衣類に菌がついているせいだったのでしょうけど、臭いはなくなりませんでした。決してクリーナーのせいではないと思います。洗濯槽自体はきれいになってるはず。オキシクリーンとか、私にとっては高価だったし、効果がなかったら泣いてしまいます。

洗濯機は新しいし、クリーナーも使ったし、洗濯槽の問題ではないと信じて、今度は衣類用の洗剤をいろいろ変えてみました。 結果から言うと、どれもあまり差はなかったです。香りに違いはありますけど。使った中では、ナノックスがかなりスッキリした感じがしました。でも高いんですよね。やはり値段の差が効果の差なのでしょうか?

予算の問題で、そんなに高価なものを使い続けることは難しいので、漂白剤を探しました。

酸素系漂白剤は色柄ものにも使えるので、ワイドハイターを試したのですが、あまり効果は感じられませんでした。洗濯物を干した時には大丈夫そうだったのですが、乾いたタオルを使って濡れると微妙な臭いがしました。

次に衣類用の塩素系漂白剤を使いました。こちらもハイターで試しました。色柄ものに使えないけど、悪くはなかったです。

酵素系のワイドハイターがあるのですが、お値段が高めなので、試していません。酵素系では菌をやっつけられそうにないと思っています。

そして行き着いたのが、キッチンハイターです。安いし、臭いもなくなります。色柄ものも、今のところは色落ちもなく、問題ありません。でも生地や染料などによってダメージがあるかもしれないので、もし試されるなら自己責任でお願いします。

使い方は、普通に洗濯用洗剤を入れ、ぬるま湯にキャップ2杯のキッチンハイターを入れて洗濯機に投入します。水にそのまま入れたこともありますが、ぬるま湯の方が効果があると思います。入れる分量もいろいろ試しましたが、48ℓに2杯がちょうどいいと思います。(うちの洗濯機はそれが最大なので。)それより多く入れると塩素のにおいで気分が悪くなります。洗い上がりはスッキリで、少し病院を彷彿させます。柔軟剤を使うと気にならないかもしれません。私は柔軟剤を使わないで、多少かたい状態で使っています。その方が清潔な感じがするからです。

不安に思う方がいるかもしれないので、付け加えておきます。洗濯用洗剤は弱アルカリ性のものがほとんどなので、同じアルカリ性の塩素系漂白剤は問題なく一緒に使えます。酸素系のものは一緒に入れないでくださいね。混ぜると危険です。

最近テレビで、「洗いたてのパンツ(下着)には1万ものバクテリアが住みついている」とか「洗濯済みのパンツから平均して0.1gの糞便物質が検出された」などと報道しているのを見ました。健康な状態では悪さをしない常在菌がほとんどのようですが、免疫力が落ちていると感染症を引き起こす原因になるそうです。

病気にならないように、口に入れる物と身につける物は特に気をつけたいですよね。

 

水虫の季節?

ジメジメする季節になると、水虫をテーマにした番組などが結構放送されています。

見ている時にいつも思うのは、いろいろな方面に配慮しているのか、はっきり言わないよね、ってこと。

病気になるって重大な問題なのだから、忖度してる場合じゃないと思いますけど。それか、日本人の4人に1人は水虫らしいので、とりあえず少しだけ注意喚起はしても諦めてるとか?

水虫の原因は白癬菌であるとか、ほとんどの人は知っていると思います。それが体のどこに感染するかによって、いんきんたむし(股部白癬)やしらくも(頭部白癬)などになります。

プロが詳しく解説してくれているものがいくつもあるので、自分だけでなく家族を守るためにも、それらを参考にして気をつけたいところです。

水虫の感染経路としては、白癬菌を含む鱗屑(アカ)が落ちている床や畳、浴場の足拭きマット、タオルなどを介して感染することがほとんどです。そのため、家族に水虫の人がいる場合は、家の中にばらまかれている白癬菌接触する機会が多く、水虫になる確率が高まります。

 また、温泉やサウナ、プール、スポーツジムなど、不特定多数の人が裸足で歩いている場所も、白癬菌に感染しやすいといえます。このほかに、意外と知られていない感染経路がスリッパです。白癬菌は、スリッパの裏にたくさんついているのですが、スリッパを重ねることで表についてしまい、それを履いた足に感染してしまうのです。(ダイヤモンド・オンライン)

 

基本的に白癬菌が皮膚についても、皮膚内部に侵入する前に洗えばよいといわれています。24時間以内であれば、侵入するリスクはかなり低いです。

ですから、銭湯の足ふきマットを使っても、帰宅後に足をちゃんと洗えば水虫のリスクはかなり軽減できます。

あらかじめ靴や靴下に持続効果のあるアルコール除菌スプレーをかけておくと、菌の増殖をおさえられ、水虫リスクを下げる効果が期待できます。(富士フイルム

 

白癬は人ばかりでなく動物にもあります。したがって白癬になった動物と接触していると、人に感染することがあります。特にミクロスポルム・カニスというカビは、犬や猫に感染しているので、白癬にかかった犬猫と接触していると、接触した顔や体、髪の毛に白癬が生ずることがあります。

また最近は柔道などの格闘技を行っている選手の間では、トリコフィトン・トンスランスというカビによる白癬が練習や試合を介して集団発生しています。

しかし最も頻度が高い足白癬は、家庭内の足ふきマットやスリッパなどを長い間共用していると、それらに付着した白癬菌が足に感染して発症する、家庭内感染によるものが大部分を占めます。

温泉場や銭湯、あるいは足白癬患者がいる家庭の足拭きマットには、ほぼ100%白癬菌が存在します。入浴後にそのようなマットを利用すると、白癬菌が足に付着します。そのまま素足でいれば、足が乾燥し、足に付着した白癬菌は剥がれ落ちますが、白癬菌を付着したまま、靴下・靴を履き続けると、長時間白癬菌が足に付着して足白癬になってしまいます。そして足白癬になった人が、今度は家庭内の足白癬の感染源になり、家庭内の畳、床、スリッパなどに白癬菌をばらまくことになります。そうすると同居している足白癬でない人もやがて足白癬になってしまう可能性がでてきます。

白癬菌は角層の下の方まで増殖しないと、痒みなどの症状が出てきません。そのため足白癬と気がつかずに放置している足白癬患者さんが多くいます。しかし治療を求めて来院する足白癬患者は、痒みなどの症状があるヒトだけです。つまり家庭内に足白癬患者がいれば、同居している他のヒトも足白癬にかかっている可能性がありますが、必ずしも治療を受けているわけではありません。そのため治療を求める患者だけでなく、同居している足白癬患者や爪白癬患者全員を同時に治療しない限り、家庭内の白癬菌はなくなりません。

また足白癬患者がいる家庭では、家庭内に白癬菌がばらまかれているので、同時に部屋の掃除などをして、家庭内から白癬菌を取り除かないと、再感染が起こってしまいます。

水虫の塗り薬を指の間から足の裏全体に1日1回つけていれば、足白癬になることはありません。しかし、水虫の薬を足白癬予防目的に使用することは保険では認められませんので、薬局で買った市販薬を使用するしかありません。

一方幸いにして、家庭内に足白癬や爪白癬患者がいない場合は、外から家庭内に白癬菌を持ち込まないことが大切です。他人の家にむやみに上がらないことが大切で、他人の家に上った場合は、家に帰ったらすぐに、足を洗うか水虫の薬をつけると、家庭内に白癬菌を持ち込むことを防ぐことができます。(日本皮膚科学会

 

本当に幸いなことに、今まで家族が水虫になったことはないのですが、旦那さんが区の用事で頻繁に公民館や他所のお宅に行くようになったので、とても気になります。

インフルエンザの時もうんざりしましたが、水虫などに感染したら、完治するまでにもっと時間がかかりそうです。

うちの旦那さんのように意識低い系の人は、かりに感染して症状が出始めても、家族が指摘しても否定し続けて悪化させるんですよね。

こういう人間を変えるのは病気を治すより難しいと思います。

 

食事当番制

わが家では夕食だけ食事当番制にしています。家族全員が揃うのが夕食時だけなので。私は火曜日と土曜日が当番日にあたります。なので、今日は食事当番ではありません。娘の当番です。

昨日は久しぶりに目眩がひどかったので、食事の支度をするのが辛かったです。昨日は水曜日なので、本来なら当番ではなかったのですが、旦那さんが区の役員をしているので、地区の行事が近かったりすると会合がたくさんあって、夕食の支度ができません。というわけで、3000円で夕食の支度を請け負ったわけです。

3000円出すなら、お弁当屋さんで買う方が安上がりでしょうけど、旦那さんもお弁当屋さんの味に飽きているみたいです。家庭で作る料理は飽きないみたいですね。なんでやろ?

昨日は体調が良くなかったので、買い物に出ないで、冷蔵庫と冷凍庫にある物でしのぎました。メニューは肉じゃが、鶏もも肉の照り焼き、キャベツと卵の炒め物、ニラと豆腐の味噌汁ときゅうりのぬか漬けです。通常だいたい一汁三菜です。

肉じゃがと言いましたが、じゃがいもは入れてないんですよね。家族みんながじゃがいもを好きではないのです。特に煮物のじゃがいもは。口の中でゴロゴロして、好きになれません。小さい頃は、親が料理に使うので食べてましたけど。

私が作る肉じゃがのような味の料理の食材は、お肉と玉ねぎと人参と糸こんにゃくです。人参も、煮ても焼いても人参を主張してくるので、そんなに好んで入れません。匂いのせいですかね?どこが苦手なのか、よくわかりません。

こうやって書いていると、好き嫌いがかなり多い人間みたいな感じがします。何でも出されたら食べるし、食べられないものはないのですけどね。

自分で作って食べる時には、あまり好きではない物は、無理して食べなくても良いと思っています。栄養はいろいろな種類の食材や方法で摂れますし。若くても年取っていても、いつまで生きられるかわからないのに、我慢は良くないと私は思います。

体調が良くないので、ヴィーガン食も調べて、実践しようかとも思いましたけど、サプリメント大好き人間なので、かなり無理があることがわかりました。でも、たくさん飲んでたサプリメントが1種類だけになりました。それもなくなったら、もうやめようと思っています。やはり過剰摂取は良くないですし、食事から摂るのが一番ですよね。

サプリメントをやめるので、魚や貝類を食べないと摂取できない栄養素があるために、やはりヴィーガンにはなれないことが決定しました。家族にも「ヴィーガンになるのは止めないけど、自分たちの食事はヴィーガン食にしないでね。」と言われていたので、これで良かったと思います。

ヴィーガンにはなれなかったけれど、たくさん調べて知識を得られましたからね。

今日の夕飯は外食だそうです。住んでいる地域に美味しいとんかつ屋さんがあって、そこの話をしていたので、ごちそうしてくれるみたいです。たまには外食も良いですよね。

犯罪と脳

最近ニュース番組を見ると、毎日のように殺人事件や高齢者の運転による事故などが報道されています。

高齢者によるものは認知能力や運動能力の低下などが主な原因かと思います。これもMRIなどで脳の状態を見れば、危険度が客観的にわかるのではないかと思うのですが。免許更新の時に、画像診断の結果と医師の所見を添付させる等の条件をつけるとか。対策はできそうな気がします。

でもそれより気になるのが、児童虐待や殺人です。

今もテレビをつけると、一年半で50匹以上の猫を連れ去り、虐待し殺した人が逮捕された事件の詳細を特集しています。

その報道の後には、奥さんを殺した夫とその母親が懲役15年と懲役7年の判決になったとか。人を殺しても刑務所で15年過ごせば済むのですね。被告人やその弁護士は、被害者によるDVなどについて述べ、情状酌量を求めました。殺された人はそのことについて何も語ることはできません。殺された上、誹られるのです。本当のことは被害者が亡くなられているのでわかりません。「加害者の言うことばかりが聞き入れられるような裁判はどうなの?おかしくないか?」と、いつも思ってしまいます。

なぜ動物を虐待したり、他人や自分の子供を虐待し殺してしまうのでしょうか?

自分を守るために突発的に罪を犯す場合もあるかと思いますが、そういうケースは除き、犯罪と脳について調べました。凶悪犯罪が増えたこともあり、脳と犯罪についての研究は進んでいます。

暴力遺伝子で脳が変異?

サイコキラー(猟奇殺人者、サイコパスシリアルキラー)の脳を解析した結果、殺人者の脳の共通点には側頭葉の内側に損傷があること、母親から受け継がれるMAO-A遺伝子(暴力遺伝子)の影響が見られることがわかりました。

キーとなるのは主要な暴力遺伝子、MAO-A遺伝子です。この遺伝子の変異型は正規母集団に属し、X染色体上にあり伴性遺伝し、母親だけから遺伝します。

このことが実際、サイコキラーや非常に凶暴な性質の持ち主が大体男性や少年であることの理由だと言えるでしょう。なぜなら、女子はX染色体を父親と母親から1つずつ受け継ぐため、その性質が薄まるのに対し、男子は母親からX染色体を1つだけ受け継ぐからです。そしてこの遺伝子は母親から息子に受け継がれます。

またこの遺伝子は発生中の脳内セロトニンの過剰分泌と関係があります。これが非常に興味深いのは、セロトニンには人を落ち着かせる沈静効果があるとされているからです。しかし、この遺伝子を持つと子宮内で脳がセロトニンにさらされます。そのため、脳全体がセロトニン非感受性になってしまい、その結果、生まれた後、セロトニンが働かなくなるのです。

暴力遺伝子は子供の頃に深刻な暴力を見たり巻き込まれたりすると発現します。(神経科学者Jim Fallon教授)

再犯率の高さは脳の構造の問題?

カナダのモントリオール大学のシャイラ・ホジンス教授と、キングス・カレッジ・ロンドンのナイジェル・ブラックウッド医学博士らによる研究チームによって、サイコパスといわれる反社会的な人格、サイコパシー(精神病質)をもった人たちが過去に犯した犯罪の結果から学ぶことができないのは、脳の構造に原因があるからだという研究結果が発表された。

サイコパスの脳は、共感や道徳的な思考、罪悪感や羞恥心に関係する部位の灰白質の体積が小さいことがわかった。さらに、報酬と罰を学ぶことに関係する前頭前野につながる白質の繊維にも異常が見つかった。サイコパスの犯罪者に、そうでない犯罪者と同じ矯正プログラムを受けさせても効果がないとするならば、ではどうやったらサイコパスの犯罪を防げるのだろうか?

ホジンス教授は、サイコパス的な行動を起こさせる脳の働きを中心に治療を行うことで、暴力犯罪を減らせるかもしれない、と述べている。

またホジンス教授は、子どものサイコパシーに関する研究はまだ初期段階にあることを前置きしたうえで、「サイコパシーの兆候を示す子どもに、早期の段階で学習を中心にした治療を施すことで、脳の構造や活動を変え、将来の暴力犯罪を減らせる可能性はある」と語った。(Live Science )

犯罪は脳腫瘍などの脳の病変のせい?

米バンダ―ビルド大学メディカルセンター(VUMC)の神経学助教授であるRichard Darby氏が主導する研究班は、「犯行前に脳の異常(脳病変)が確認されていた犯罪者17人」の脳画像データをマッピングした。その結果、各犯罪者たちの障害部位は十人十色、さまざまな脳領域に位置してはいたものの、17人全員の病変が「ある特定の脳内ネットワーク」と強く関係している共通項が示唆された。

今回の研究者たちが「脳異常と犯罪行為の関係性」について従来以上の強い関心を寄せたきっかけは、テキサス大学オースティン校で1966年に起きた銃乱射事件だった。死亡13人・負傷31人の大惨事を引き起こした末、銃撃戦で射殺された犯人(チャールズ・ホイットマン)は、「事件前」から頭痛を訴え、自ら「人格が変わった」と周囲に明かしていた。事件後、犯人の「脳腫瘍」が判明した。

Darby氏は「脳病変がある人に対して、その行為の法的責任を問うべきなのか否か――。最終的には、社会がその答えを出すべき問題であることに変わりはない」と言う。『Proceedings of the National Academy of Sciences (PNAS)』

 

全く受け入れることが出来ないですけど、犯罪が犯罪者自身のせいではなく「脳が犯罪を起こさせた」として罪状軽減を目指す行動遺伝学というのがあります。裁判に神経科学的証拠が使われるなど、神経科学が徐々に刑事司法制度に取り込まれ始めている中、デューク大学で法学・哲学を教えるNita Farahany教授は、行動遺伝学を活用して殺人事件などの被告人の刑罰を軽減できるのではないか、と研究を行っているそうです。

こういうのが主流になると、世の中、刑罰を免れた犯罪者だらけになりそうです。

暴力の少ない未来の実現のための具体策を提言している本があります。なかなか問題があって、現実には難しいと思いますが。下記の本です。

 

『暴力の解剖学: 神経犯罪学への招待』(エイドリアン レイン 著)

神経犯罪学を確立した著者が、脳、遺伝、栄養状態等の生物学的要因と、生育環境や貧困等の社会的要因、およびその相互作用から、いかに暴力的な性格が形成されるかを解説しています。

 

おもしろい本なので、一度読んでみてください。値の張る本なので、図書館で借りて読んで、気に入ったら購入されることをお勧めします。

未然に防ぐために、定期健診などにMRIによる脳の検査を入れても良いような気がします。それで悪い結果が出て、隔離されたら嫌ですが、セロトニンを適量増やす薬などを処方してもらって、犯罪に走ることを抑制できるなら、良い方法だと思います。